俳優時代
大学を卒業した翌日に単身上京して俳優の道を志す。6年間、俳優の世界に身をおき、多くの舞台、テレビ、映画に出演。しかし、多くの俳優志望者と同様、テレビや映画に出るまでの下積み時代は過酷でした。そんな過酷な時代を過ごしながらも、徐々に演劇のもつ不思議な力に魅了されるようになっていきました。
その不思議な魅力とは、「ひょっとすると演劇は人間の習性(悪い癖)のようなものをあぶり出してくれているのではないか」ということです。そのことに自らの体験を通じて気付くようになったのです。つまり「俳優の作業は、自分という内面を深く洞察すると同時に、外の世界に向かって自分を解放させるという相反する作業を行う。しかし、いざ人前で自分を表現しようと思っても、羞恥心や見栄が出たり、逆に緊張や不安が高まったりして、本来のパフォーマンスが発揮できないことがある。すると今度は逆に「あーでもない、こーでもない」と頭の中だけがぐるぐると回って、行動や表現すること自体が怖くなったり億劫になったりして、動けなくなるというジレンマに陥る」ということです。しかしこれら人間が陥る習性(悪い癖)をどのようにして克服すればいいのか、俳優時代にはその答えが見つかりませんでした。
会社員時代
28歳の時、婚約を機に俳優の世界からビジネスの世界に転身。最初は通信会社、その後は人材派遣会社、そしてIT企業。とにかく同世代のビジネスマンとの周回遅れを取り戻そうと必死になって仕事を覚えました。特にIT企業での会社員時代は成長の機会をたくさん得ます。それはお客様や社員を大切にするということがいかに大切で難しく、かつ業績にも影響するということです。そのIT企業では株式上場、セミナー講師、営業マネージャーなどの経験を積ませていただきました。
演劇ワークショップとの出会い
32歳の頃に2日間の演劇ワークショップに参加した時に衝撃を受けます。その理由は、「なぜ自分が俳優として売れなかったのか」、また「演劇が人間の習性(悪い癖)をあぶり出してくれる理由」が明確に分かったからです。と同時に、当時営業の現場などで苦しんでいた部下や後輩が、俳優時代の私と同じ原因で苦しんでいることに気付きました。そこから演劇とビジネスのシナジー効果についての研究が始まり、週末にはボランティアで社会人向けの演劇教室を開催し始めました。
営業マネージャーとしての成功体験
そうして少しずつ演劇とビジネスのシナジー効果を感じ始めていた頃、それがある時、確信に変わりました。2009年、IT企業の営業マネージャーになった時(リーマンショックの翌年)です。何をやってもメンバーの実績があがらず、かつメンバー育成も上手くいかず苦しんでいた時に、破れかぶれでNS式メソッドを実施してみました。すると、それまで漠然としていたメンバーの課題がかつて私も陥っていた「人間の習性(悪い癖)」に起因していることに気付いたのです。まさに目から鱗が落ちる思いでした。そこからNS式メソッドをメンバーに実施し始めた結果、メンバーのパフォーマンスが目に見えて高まっていっただけでなく、私自身のメンバーに対する接し方にも良い意味での変化が起こり、結果的にチームはIT系上場企業の数あるチームの中で、年間最優秀チーム賞を受賞するまでに至りました。
「この成功体験をもっとたくさんのビジネスパーソンに広めたい!」「自分にしかできないことで世の中の役に立ちたい!」という思いから、教育・研修の分野にチャレンジすることを決意し、現在に至っております。