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波乱の幕開けとなった2024年。日本経済はこれから正念場を迎えることが予想されます。昨年から続く円安、原油・物価高、物流の2024年問題、G7最下位の1人当たりGDP、それに加えて自然災害、世界情勢の不安定化など、明るい兆しが見えてこない状況です。また政府統計の日本の人口は、2050年ごろに1億人を切り、2100年は中位推計で4950万人（高位推計6450万人、低位推計3800万人）になるそうです。中位推計換算だと80年間で7700万の人口が減ることになり、人手不足問題は待ったなしどころか危機的な状況です。このような時代を超VUCA時代と呼ぶ人もいます。

このような超VUCA時代を我々はいかに生き抜けばよいのでしょうか。科学やテクノロジーの進歩だけで本当に生き抜いていけるのでしょうか。ノーベル経済学賞を受賞した英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス（ＬＳＥ）のクリストファー・ピサリデス教授は、人工知能（ＡＩ）が支配的になる世界では「共感力」や「創造力」のある人材が重宝されるとして、若い世代の人気がＳＴＥＭ（科学・技術・工学・数学）教育に集中することに警鐘を鳴らしています。（中略）なぜなら、特定の情報技術（ＩＴ）業務に従事する労働者が、将来的に自分らの仕事を奪うＡＩを進歩させることによって、「自滅の種」をまく危険性があるからだそうです。

ピサリデス教授はさらに続けます。「長期的にはコミュニケーションやカスタマーサービス、ヘルスケアなどでマネジメントや創造性、共感力といったスキルが、強い需要を維持する可能性が高い。こうしたスキルはテクノロジー、特にＡＩに取って代わられる可能性が低いからだ。」とも述べています。

ちなみにコミュニケーションの語源はラテン語でコミュニスといい、その意味は「分ち合い、共有する」です。この「分ち合い、共有する」スキル、つまりコミュニケーション力（関係構築力）を習得するためには、「理論」からの学びと、「体験」からの学びの両輪が必要です。このことは「ロゴス（論理）」と「エトス（信頼）」に置き換えることができるかもしれませんし、もっと広い観点でいうと「ロゴス（西洋の論理。二元論）」と「レンマ（東洋の論理。包括的）」に置き換わるかもしれません。

そして憚りながら申し上げますと、日本で暮らしている我々は、この「ロゴス（西洋）」と「レンマ（東洋）」の両方の論理を使いこなせる稀有な存在になり得るのではないかと思うのです。我々が個人・組織としてこの両輪を上手く使いこなせた時、超VUCA時代を生き抜くだけでなく、再びグローバルリーダーとして輝ける日がくるのではないでしょうか。そのためには「まず隗より始めよ」です。自分の周囲にいる人に対するコミュニケーション（関係構築）から見直していこうではありませんか。微力ではありますが、コミュニケーション、人材育成の領域において、今後も皆様のお役に立てればと存じます。引き続きご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。

※ピサリデス教授の箇所は、2024/1/3　Bloomberg記事の一部を抜粋 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-01-02/S6N7AKDWLU6800